184号企画

PLAYBACK 2004 〜軌跡〜

 胸を熱くさせる勝負。それは振り返ったとき、改めて名勝負の意義をもつ。2004年も、関学体育会は様々な名勝負を見せてくれた。その中で特に印象深い場面を我々編集部員の独断で選出してみた。記憶に刻まれた激闘が今、甦る。

3月 アイスホッケー部  激闘の果てに掴んだ一勝  

 3月18日にアクアピアアイスアリーナで行われた関西インカレ、対関大戦。「まとまったチームがどれほど強いか見せ付けたかった」主将・加藤(文四)は振り返る。

 第1P(ピリオド)、関大に攻め込まれるものの、GK・大橋(経四)のセーブが光り、無失点に抑える。すると流れは徐々に関学へ。第2P開始早々、相手のパスをインターセプトした加藤が先制点を叩き込む。続く4分、安岡(商三)の放ったパックは関大DF陣をすり抜けゴール、2−0とした。このまま関学ペースかと思われた12分、PS(ペナルティショット)を決められリードは1点に。さらに第3P4分にも追加点を許し、ついに同点に追いつかれる。その後は両校一歩も譲らず、勝負はPS戦へともつれこんだ。

 先攻は関学。一番手・新留(社二)の、ゴールライン直前からゴール隅をつく渋いシュートに、場内は湧き上がる。対して関大は大橋の好セーブの前に完全シャットアウト。そして関大三番手・竹下の放ったシュートがゴールをかすめた瞬間―。部員たちは一気にリンクになだれこんだ。張り詰めていた糸が切れ喜びを爆発させる選手達。今までにこれほど心地よい勝利を目にしただろうか。個々の思いが一つとなった時、そこに新たなパワーが生まれる。関学チームの未知なる可能性を存分に感じた試合であった。1+1=2ではない、無限大なのだと―。

6月 サッカー部  3年ぶり春季リーグ優勝  

 4月11日〜5月16日に行われた関西学生サッカー春季一部リーグ。関学は7勝1敗1分という圧倒的強さでリーグ優勝を果たした。

 初戦の近大戦を大量5得点を挙げる勝利で飾ると、続く第2、3、4節も制し開幕4連勝。第5節の大体大戦は引き分けるも、リーグ前半戦を首位で折り返す。

 そして迎えた第6節、関大戦。序盤、関学はセットプレーから2点を失う。その後1点を返すも試合は関大ペース。

 後半も攻めきれず、このまま関大に逃げ切られるかに思われた。しかし今季の関学はここからの粘りが違った。試合終了4分前、途中出場の地崎(商一)が右サイドをドリブル突破し中央へパス。これを橋本卓(法四)が確実に決め、土壇場で同点に追いつく。その3分後、主将・古家(社四)が起死回生の逆転弾―。大きな勝ち点3を手にした。関学はこの勝利によりさらに勢いづき、続く第7、8節も白星をあげ、最終節を残してリーグ優勝を決めた。

 春季リーグでの関学の戦いぶりを振り返ると、技・体の充実はもちろん、「心」の強さに目を見張る。後半での得点が多く、特に後半35分以降の試合を決めるゴールが目立った。攻守にわたる質の高いプレー、そして最後まで諦めない不屈の精神が関学に三年ぶり二度目の春季リーグ優勝をもたらした。


6月 総合関関戦  接戦の末の総合連覇  

 総合関関戦―関学と関大という関西を代表する二校の伝統の一戦。今年で27回目を迎えた関関戦は、6月17日から19日にかけて敵地・関西大学千里山キャンパスを拠点に行われた。過去の通算成績は関大が上回るものの、近年は関学がその強さを見せつける。因縁の対決に今年度も多くの死闘、激闘が繰り広げられた。

 前哨戦では、春リーグ優勝で注目のサッカー部が敗北。しかし、馬術部、陸上競技部の圧勝などで6勝6敗のタイとなり両校譲らぬ展開。本戦を前にして戦いの舞台が整ったといえる。

 一日目、レスリング部は屈辱の敗戦で連勝が止まるが、残る試合では関大を圧倒し上々の滑り出しを見せる。硬式野球部は緊迫の投手戦で少ないチャンスをものにした関学が試合を制した。二日目、かろうじて庭球でかつもののゴルフ部が20年ぶりに敗北、アイスホッケー部は完敗と後が続かない。勝敗は最終日へと持ちこされた。

 そして迎えた三日目。柔道部は大将戦までもつれこむ白熱の試合で内容勝ち。しかし、関大も意地を見せ16勝16敗で勝敗は全くの互角。勝負の行方は最終競技の剣道部に託された。序盤は混戦となるが、関学が地力を見せる。次々と一本勝ちが決まり、執念の勝利。これにより関学の総合優勝が決まり、歓喜の瞬間が訪れた。17勝16敗4分。接戦ながらも見事、連覇を飾った。

 両校の意地と意地とがぶつかる僅差の戦い。“打倒関大”の下に関学体育会が一つになる勇姿。総合関関戦の名に恥じない感動がそこにあった。

9月 バスケットボール部男子  希望を繋いだリーグ戦劇的勝利  

 9月4日〜10月17日に行われたリーグ戦。関学は白星発進するも、第8戦まで順調に勝利する事が出来ず、全日本インカレ出場に黄信号が灯った。もう負けられない―前主将・城山(法四)率いる関学は並々ならぬ意気込みで第9戦の近大に挑んだ。

 前半、関学はF・平野(商三)を軸に攻めるも終始ゲームをリードされる。だが第3Qに入ると、関学は着実に好機をものにし、流れを引き寄せ始める。第4Q、F・城山の連続3Pで1点差に詰め寄ると俄然ムード は高まる。勢いは近大を飲み込みPF・松本(経一)の得点で一気に逆転。だが残り3分、同点に追い付かれ張り詰めた空気が漂い始める。その後両チー ム無得点が続き残り3秒。C・菊池(商四)がファウルをもらい、値千金のフリースロ ーを獲得。絶好のチャンスが到来した。コート、そしてベンチを緊張が包み込む。その中菊池は2本とも冷静に沈め、85‐83で試合終了。劇的な逆 転勝利。インカレ出場へ希望の光が差し込めた試合だった。

 熱戦を制した関学だったが、最終的にインカレを逃す。だがこの一戦は経験不足を指摘されたチームには貴重な経験となった。逆転を信じ最後ま で戦う姿勢に城山も「成長を肌で感じた」と語る。この成長が来季の躍進を約束させる。          


10月 陸上ホッケー部  立ちはだかった昇格の壁  

 陸上ホッケー部にとって、秋季リーグ戦の目標は「一部昇格」。それだけだった。リーグ序盤から順調に勝ち星を重ねた関学は、10月23日の第4節、全勝で最大のライバル京産大と対峙した。試合開始からリズムをつかめない関学。前半5分には、PCから先制点を奪われてしまう。また弱点であるLHにボールを徹底的に集められ、ゲームの主導権を握れない。後半8分にも失点。終盤、京産大が守りに入ってきたのを機にゴールを何度も脅かすが、1点を返すのが精一杯だった。結果は1−2の敗北。関学はリーグ2位に甘んじた。敗北が決まった瞬間、関学イレブンはうなだれ悔しさをあらわにした。

 関学陸上ホッケー部の前に立ちはだかる一部昇格の壁。彼らは何度その壁に迫り、跳ね返されたのだろう。思えば昨秋の二部リーグ戦。引き分け以上で優勝が決まる最終戦で敗北し、得失点差で優勝を逃した。そして今春は二部リーグ優勝を飾るも、一部入れ替え戦では中京大に0−1の惜敗。そして今秋…。

 ホッケー経験者が二人しかいない関学にとって、これらの成績は十分に評価できるはずだ。しかし「四年間、一部昇格のことしか考えていなかった」と北(商四)が語るように、昇格は最大の目標であり夢だった。三度果たせなかった無念は、我々の想像をはるかに超えるものに違いない。ピッチを去る後ろ姿が、今でも目に焼きついて離れない。

11月 軟式野球部  史上初 春・秋完全V  

 今年軟式野球部は春季リーグで優勝した。続く各リーグの覇者が激突する関西選手権をも勝ち抜き、見事関西を制した。そして秋、再びリーグ優勝を果たした彼らは、関西選手権の舞台で春に続く連覇を目指す。

 一回戦、対するは最大の宿敵・近大。序盤、先制点を許すが、エース山本(理工三)の安定した投球で守備陣も活気づく。両校譲らぬ攻防が続く中、七回表、捕手・高倉(社二)の価値ある二塁打でゲームを振り出しに戻した。その後も緊迫した投手戦が繰り広げられ、片時も目が離せない。激戦は1−1のまま延長戦へ突入。互いに攻めあぐねて迎えた十三回表。石本(経三)の執念の一振りで走者を一人返し、ベンチは最高潮に盛り上がる。その裏、最後の打者をきちんと三振にしとめ、春王者の意地を見せ付け熱戦に終止符を打った。

 初戦突破で勢いに乗った関学は、準決勝・大商大戦も勝利。そして迎えた決勝・対英知大戦。両者拮抗し、再び延長戦にもつれ込む。だが十四回、相手の失策から奪った一点で逃げ切り優勝を掴んだ。

 史上初の春・秋完全制覇を成し遂げた関学軟式野球部。優勝を分かち合う選手たちの姿から、チーム一丸となって戦う関学の真の強さを感じた。だが彼らの目標はあくまで「全日優勝」。昨年、決勝の大舞台で悔し涙を呑み、今年は二回戦で惜敗した。その悔しさが糧となり、今回の快挙を手にしたのだ。来年へ向け確かな手応えを掴んだ今季、彼らの活躍は誰よりも輝いていた。